イラストレーター、ミュージシャン中村佑介のオフィシャルブログ または心のおもらし。Twitterは@kazekissaまで。
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はい
"何事も程ほどが一番"なんて、ほんとに本当でしょうか?
「いえ、というのもね先生、わたし甘いものは苦手なんですけど、
プリンだけは特別で、特に疲れている時なんかは心だけでなく身体からさえも欲する程です。
その時ばかりは男性の気持ちが少しわかる気もします。逆ですけどね。
そんな彼に対してでさえ不満なところはあります。あの少なめの分量とカラメルソースです。
私は純粋にカスタードの部分だけをお腹一杯になるまで食べてみたいなぁと
子供の頃から思っておりました。小学校の給食の時間、友達は卵アレルギーで、
いつもプリンが食べれず私にくれたのですが断っていました。
好きな男の子が同じクラスにいたので、はしたない女の子に見られたくないというのもありましたが、
2つに分けられたものを食べるのでは、まるで意味がないような気がしたんです。
同じように大人になった今、お金で買うのも作るのも、何だか違うような気がするのです。
だってそうでしょう。もう本当に本当に好きな女の子がいて、
その娘が風俗で働いていたとしたら、お金を出して抱きしめようと思いますか?
思いますか。まぁその話はよしましょう。私はどうしても思えないのですね。
そして気付いたらこのクリニックのドアを叩きここに座る私は、罪な女なのでしょうか。
ひとつせいぜい150円ほどなのにこれも贅沢な悩みと言われるのでしょうか。」
誰にも言えなかったことをひとしきり言葉にするにつれ、
もしかしたら自分はそのプリンなんて本当はどうでもよく、
天邪鬼にありもしないものを対象にして「何かが欲しい」という感情を
大切にしていただけなのかもしれないなと少し自信がなくなってきましたが、
そんな私に先生は、風俗の話題になった時以外はお困りの様子ひとつ見せず、
ニコニコとこんなものを処方して下さったのです。 お皿に裏返しても、もはや重力に逆らえなさそうな十分すぎる程の分量、
そしてあの憎っくき、いえ、苦手なカラメルソースも絡めないソース。
すみません、面白くないですね。つい興奮してはしたない言葉を使ってしまったので、
駄洒落に目をそらさせようとしましたが、全て裏目に出てしまったようです。
ですがそれくらい、こんなものがあったのかと目を疑うほどの理想的なものを目の当たりにし、
私はデザート用の小さなものでなく、シチューを食べる時の大きなスプーンを用意して、
「食後に~」という注意書きも無視し、無我夢中で食べ始めました。
するとどうでしょう。はじめは名前通りの嬉しい感情で胸がいっぱいでしたが、
半分くらいまで来ると、今度はお腹もいっぱいになり、
とうとう食べきれず、翌朝もう半分食べる頃には
私の熱はどこかへ行ってしまっていました。
寝てる間に夢と一緒にバクが食べてしまったのでしょうか。
お腹が空いてるなら、これを食べてくれたら良かったのに…と残り240gを食べきり、
そして後日、私は先生にお礼を言いに再びクリニックへ向いました。
「どうもありがとうございました。とても美味しかったです。」
私は半分嘘をつきました。ですがそれが愛というものじゃないかと思うのです。
私はこれがほんとに本当に欲しかったのです。
私が美味しかったと言い続ければ、紛れもなく満たされたことになるのですから。
だから「もうひとう下さい」と言おうとした私に、先生はいつものようにニコニコとこう言いました。
「それはよかったですね。それではお薬はもう必要ありませんね」
はい。
「いえ、というのもね先生、わたし甘いものは苦手なんですけど、
プリンだけは特別で、特に疲れている時なんかは心だけでなく身体からさえも欲する程です。
その時ばかりは男性の気持ちが少しわかる気もします。逆ですけどね。
そんな彼に対してでさえ不満なところはあります。あの少なめの分量とカラメルソースです。
私は純粋にカスタードの部分だけをお腹一杯になるまで食べてみたいなぁと
子供の頃から思っておりました。小学校の給食の時間、友達は卵アレルギーで、
いつもプリンが食べれず私にくれたのですが断っていました。
好きな男の子が同じクラスにいたので、はしたない女の子に見られたくないというのもありましたが、
2つに分けられたものを食べるのでは、まるで意味がないような気がしたんです。
同じように大人になった今、お金で買うのも作るのも、何だか違うような気がするのです。
だってそうでしょう。もう本当に本当に好きな女の子がいて、
その娘が風俗で働いていたとしたら、お金を出して抱きしめようと思いますか?
思いますか。まぁその話はよしましょう。私はどうしても思えないのですね。
そして気付いたらこのクリニックのドアを叩きここに座る私は、罪な女なのでしょうか。
ひとつせいぜい150円ほどなのにこれも贅沢な悩みと言われるのでしょうか。」
誰にも言えなかったことをひとしきり言葉にするにつれ、
もしかしたら自分はそのプリンなんて本当はどうでもよく、
天邪鬼にありもしないものを対象にして「何かが欲しい」という感情を
大切にしていただけなのかもしれないなと少し自信がなくなってきましたが、
そんな私に先生は、風俗の話題になった時以外はお困りの様子ひとつ見せず、
ニコニコとこんなものを処方して下さったのです。
そしてあの憎っくき、いえ、苦手なカラメルソースも絡めないソース。
すみません、面白くないですね。つい興奮してはしたない言葉を使ってしまったので、
駄洒落に目をそらさせようとしましたが、全て裏目に出てしまったようです。
ですがそれくらい、こんなものがあったのかと目を疑うほどの理想的なものを目の当たりにし、
私はデザート用の小さなものでなく、シチューを食べる時の大きなスプーンを用意して、
「食後に~」という注意書きも無視し、無我夢中で食べ始めました。
するとどうでしょう。はじめは名前通りの嬉しい感情で胸がいっぱいでしたが、
半分くらいまで来ると、今度はお腹もいっぱいになり、
とうとう食べきれず、翌朝もう半分食べる頃には
私の熱はどこかへ行ってしまっていました。
寝てる間に夢と一緒にバクが食べてしまったのでしょうか。
お腹が空いてるなら、これを食べてくれたら良かったのに…と残り240gを食べきり、
そして後日、私は先生にお礼を言いに再びクリニックへ向いました。
「どうもありがとうございました。とても美味しかったです。」
私は半分嘘をつきました。ですがそれが愛というものじゃないかと思うのです。
私はこれがほんとに本当に欲しかったのです。
私が美味しかったと言い続ければ、紛れもなく満たされたことになるのですから。
だから「もうひとう下さい」と言おうとした私に、先生はいつものようにニコニコとこう言いました。
「それはよかったですね。それではお薬はもう必要ありませんね」
はい。
by kazekissa
| 2008-12-03 16:17
| 日記