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イラストレーター、ミュージシャン中村佑介のオフィシャルブログ または心のおもらし。Twitterは@kazekissaまで。


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しゅうちゃん。

先週、祖母の納骨式の為、久々に西宮の実家に帰ってきた時の話。
昼過ぎには無事終わり、夜の親戚食事会までかなりの時間が空いていたので、
荒井由実「卒業写真」の"通った道さえ今はもう 電車から見るだけ~♪"
を歌うだけ~♪も、いやだなと思い、
10年前の通学路でも散歩しようと昔の僕の後をついて行くと、
そこには必ず横には誰かの笑顔があったのです。

「しゅうちゃん。」
僕は彼をそう呼んでいた。
小学校から高校までずっと一緒だった親友のこと。
「よし行ってみるか」と、
10年前の記憶を頼りにてくてくと。
そしてピントがあった1軒の家の表札には、
10年前と同じ名前が書かれていたけど、
本人は居ないかもしれないし、
いきなり尋ねられても迷惑だろうし、
どうしようかと、横の公園で煙草を2本。

いつもこんなことをして、何も知らぬまま
10年も立ってしまったんだよ、僕らは。
だからインターホンを押したんだ。
「どちらさまですか?」
「学生時代の友人の中村と申しますが…」
「え!ちゅうたん!?」
とドアが開き、彼のお母さんが
嬉しそうな驚いたような顔をして出てきた。
驚いたのは何も僕が突然尋ねたことだけが理由ではないようで、
「さぁ、中へ」と話を聴くと、
「今日、久々にしゅうちゃん帰ってくるのよ。偶然ね」。

そして待つこと15分、
ドアが開いて現れたしゅうちゃんのひとこと目は
「おー!ちゅうたん、久しぶり!!」
何だか、ほつれた心がほろほろと解けてしまい、
「そうだったなぁ。僕はあの頃みんなから
『ちゅうたん』って呼ばれてたんだなぁ」と、
言葉にもならず笑いだけがこぼれた。

驚いたことに彼の横には奥さんと1歳半の子供さんが居て、
さらに驚いたことに、「最近、アジカンってバンドのコピーバンドしてんねん」
って、「それ、ジャケット描いてるん僕やで」 。
なんて話してるうちに、
あっという間に夕食会の時間になってしまった。

昔の友人に会うというのは、
今まで生きていたことを、
つまり忘れそうでそれでいて、
忘れられない過去を肯定したかった行為のように思う。
そして、こどもも奥さんも結婚もない僕から見たら、
臆病な程に輝かしいけど、
君が言うんだから、それも良いんだろうな
と素直に信じられる。


逢いに来てくれてありがとう。
こちらこそ、逢ってくれてありがとう。
これは、おばあちゃんがくれたプレゼントだ。
逢わせてくれてありがとう。
by kazekissa | 2006-05-21 12:06 | 日記