イラストレーター、ミュージシャン中村佑介のオフィシャルブログ または心のおもらし。Twitterは@kazekissaまで。


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夢をあきらめ続ける

いやぁ、暑いですね。日本中が最高気温を記録しておりますが、こちら大阪もどのくらい暑いかと申しますと、僕の仕事机にいらっしゃるホワイトレオ総司令官様の、通常は指で温めないと浮き上がらないはずの胸の紋章が、触ってもいないのに嬉し恥ずかし、いつもクッキリになっている程です。
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この人形は1980年代後期にトランスフォーマーの一種として日本で発売された"ビーストフォーマー"というシリーズのフィギュアのひとつで、とある方から先週末に頂きました。

という事で、先週末の土曜日は埼玉の東武ブックスビーンズ戸田公園店でサイン会でした。まずはお越し下さった皆さま、そして東武ブックスビーンズ戸田公園店スタッフの皆さま、本当にどうも有難うございました。
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今回のサイン会は東武ブックスビーンズ新店舗開店お祝いイベントの一貫として呼んで下さり、特に何か本を出したタイミングという訳でもなかったので、「人来るんかしら?」と心配でしたが、実に100名近い方が参加して下さいました。不思議に思い、参加の経緯を聞いてみると、1位が東武ブックスビーンズによるチラシやポスターでの告知を見て。2位が新聞広告を見て。そして堂々の第3位が"ブログを見て"、うんうん…え?ブ、ブ、ブ、ブログを見て!?

正直、ブログというツールも最近はTwitterやFacebookなどに取って代わられ、コメントも日に日に少なくなってきたので、てっきりここも誰も見ていないんだろうなと、半ば趣味で更新していましたが、見てたんですね、アナタ。そして今も見てるんですね。こんにちは。どうもありがとうございます。BBSでカキコでキリバンなどは卒業してしまったこんな僕ですが、ブログという長文を書けるツールはまだまだ可能性を感じておりますので、最後の一人になるまで続けていく所存です。これからも宜しくお願い致します。という訳で今日もSNSではブロックされること間違いなしの、いつも通りの長~い文章をお届けしますね(笑)

講演会でも度々言っておりますが、僕は子供の頃から現在に至るまで、絵を描くこと自体にはあまり楽しみを見出せない性格でして、いつもイヤイヤ描いております。それでも何故続けるのかと言うと、それは単に特技であり、そして完成した絵を見た人の楽しそうな表情が見れるから。という理由で、ただそれだけが僕の仕事の楽しみなのです。だからサイン会や講演会などで、いつも絵を見て下さっている方々と接する事は、たぶん参加者にとっては"オマケ"のように感じるかもしれませんが、僕の中では、作品やサインの方が人生のオマケなのです。

例えば今回の埼玉サイン会でも6時間くらいずっとサインし続けているので、「飽きませんか?」や「疲れませんか?」などねぎらいの言葉を頂き、それはそれで嬉しい気遣いだと感じているものの、こちらから見ていると、実にユニークでパワフルな方たちばかりなので、飽きることも、疲れることもなく、いつも「え、もう終わり?」と言った印象でサイン会は幕を下ろします。

今回も、mixiのゆずコミュニティで出会い、それ以来mixiにログインしていないという、実に清いSNS使用法を実行したカップル。生物学を勉強していたけど、もう一度好きだった絵が書きたくて、専門学校に通い直している方。その逆に絵も好きだけど、学者をしている方。セーラー服を着たいけど、自意識が邪魔をして中々切れない20代女性。お姉ちゃんの友人のロシア人女性がホームステイに来てて、連日寝不足な思春期真っ只中の弟さんなどなど、ここには書ききれない程、千差万別の楽しい出会いがありました。
職業においても、やはりイラストレーターのサイン会なので、専門学校生や美大生、デザイナーの方が多いものの、元・警察官や自衛隊の卵である防衛大学校学生さんも。また年齢も、中学生から中学生の子供さんがいる世代の方まで、実に幅広い層の方々が参加して下さいました。

その中でも印象的だったのが、サイン会が終わりそうな時に、駆け込みで来て下さった方。「友達の為に代わりに!」ということでしたので、性別以外は、名前も年齢も職業も国籍もわからなかったのですが、おそらく中国から留学してきている、20代中頃の女性。もしかしたら、韓国や台湾からの方だったのかもしれませんし、日本語もとてもお上手だったのですが、これは日本人では決して浮かばない発想の言葉だなぁと、彼女の台詞が今も頭に残っています。

最初に言った通り、彼女はご友人のプレゼントの為に、画集を買って参加して下さいました。よくよく話を聞いてみると、「私の友人はいま学校の先生をしていているんですが、元々のなりたかったイラストレーターという夢を今も諦め続けているんです!」とのこと。"夢を諦めた"という表現は良く耳にしますが、"夢を諦め続ける"という表現は耳慣れないので、サインを書く手が止まってしまいました。
ですが自分の過去をよくよく思い返してみると、僕もその画集『Blue』を出すまでは、漫画家やキャラクターデザイナーという夢を"諦めた"のではなく、"諦め続けていた"なぁということで、やはり子供の頃から何十年もの歳月で塗り重ねた夢は、例えどんなに強固な砂ケシでも、頭のキャンバスからはそうすんなり消えてくれません。

僕自体はあまり流行り言葉には乗らない人間ですが、日本の中にずっといると、問題なく意味は伝わるので、疑問も持たず、当たり前だと思って日々使ってしまっている言葉というのがあって、こうして海外から来た人の方が、その状況を言葉で適格に表せることもあるのだなぁと思いました。そしてそのご友人の"諦め続けている"という現状を想うと、いても経ってもいられなくなりました。という訳で今回のブログを長々と綴っております。夢に後ろ髪を引かれている時と言うのは、目の前にあるやるべき事や、素敵なことも見落としてしまいがちです。

僕は芸術大学出身なので、周りも色んな夢を持った人がたくさんいました。ですが卒業後、第一志望の企業に入れたものの、結局人間関係がややこしくてリタイヤしてしまったり、はたまた一旦夢は置いといて、とりあえず受かった会社に就職したら、それが楽しくて今も続けてたりと、様々です。そこで感じたのが結局大切なのは人間関係なのだなぁということ。"会社"や"夢"と言っても、結局その先にいるのはどこまで行っても"人間"でしかないので、よくよく考えたら当たり前のことなのですが、それに気付いて、僕もようやく先ほど言った夢を諦め続ける作業は終えて、「イラストレーターとしてやっていこう!」と腹をくくり、出版社(飛鳥新社)に4年ほど待ってもらっていた画集『Blue』をようやく出すことにしました。
よく「最近の絵は昔のものに比べて明るいのは何故ですか?」という質問を受けますが、同じ理由です。もう周りの人はせつない顔してセーラー服着てないので、前を向いている人たちを描いて、夢や過去より素晴らしい今というものを、見逃さずにきちんと伝えていきたいなぁと考えております。結婚したのも同じ理由でした。

そこで最初に紹介したホワイトレオ総司令官のフィギュアに話は戻ります。これは今回のサイン会に参加して下さったBertoia(ベルトイア)というバンドの根岸さんから頂いたもので、少し前、とあるライブイベントの特典用バッジとして描かせてもらったBertoiaの似顔絵を気に入って下さったことから、根岸さんとの交流ははじまりました。左端が根岸さんです。
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根岸さんとはFacebook上で、音楽でも、イラストでもなく、いつもビックリマンやフィギュアや映画やゲームなど、趣味の話をしていて、今回はじめてお会いすることになり、「中村さん、好きかなぁと思って…」とカバンの中からゴソゴソと出したホワイトレオの姿を見てビックリ。それは僕が小学生の時になくしたものだったのです。それを拾って届けてくれた、という出来過ぎた話ではないものの、このシリーズはとてもマイナーで、僕の周りの同世代は誰も「そんなんあったっけ?」と言っていたので、もう2度と見ることはないんだろうなぁと思っていたので、本当に驚きと嬉しさでいっぱいになりました。
イラストレーターになっていなかったら、こんな出会いと再会はなかったのかと思うと、なんだか良かったなぁとしみじみさせて頂きました。これからも続けて行って、もっとたくさんの人たちに出会いたいなぁと思いました。相変わらず描くのは死ぬほど面倒くさいけど(笑)

だから彼女の友達も、他に進路や現状に悩んでいた方たちも、どんな道に進むにせよ、いつかそんな風に思える日が来ればいいなぁと思います。また明るい顔で再会出来る日だけを楽しみに、今日も僕は熱い部屋で絵を描こうと思います。最後まで読んで下さった方、どうもありがとうございます。最後にBertoiaのPVでもひとり楽器を弾かずゲームに打ち込んでいる根岸さんの姿をお送りして、失礼致します。


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by kazekissa | 2013-08-13 05:23 | 日記