イラストレーター、ミュージシャン中村佑介のオフィシャルブログ または心のおもらし。Twitterは@kazekissaまで。


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ハイ宙

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いよいよ発売になったイラストノート』No.26
"中村佑介の宇宙"と、なんとも壮大な副題がついておりますが、
宇宙という言葉を聞いて思い出すのが大学1年生のちょうど今くらいの時期の出来事。

大阪芸術大学に入学し、はじめて出来た友達の杉浦くんは、
所属していたデザイン学科ではなく、映像学科の男の子でした。
というのも大学がはじまっても、しばらくは説明会などに終始して、
きちんと学科の授業がはじまるのは桜が散った頃になり、
その前に行われるのが色々な学科の子が参加する
新入生歓迎コンパがきっかけだったからです。
僕の場合、それは一人暮らしをはじめた学生寮で行われました。
学生寮には主に、地方から出て来た子が集まるので、
心細い僕らが身を寄せ合うのは自然の流れだったのかもしれません。
しかし杉浦くんの僕へのファーストコンタクトは超自然的な発言でした。

「君ィ!今も宇宙はどんどん広がっているのに、良くそんなのんきにハイチューが食べていられるね!」

彼はそう言って、僕のあと4つくらい残っていたハイチューをさっと取り上げ、
新歓コンパの会場である学生寮の屋上から、遠くの方へ投げ捨てたのです。

まぁ、そんな決して良くはない第一印象でしたので、
その後の印象は昇るばかり。部屋も向かいで、音楽の趣味も合い、
僕らは次第にお互いの部屋を行き来するようになりました。
それぞれの学科の授業がはじまっても、夜には食材を持ち寄って、
どちらかの部屋で食事をしながら、絵やデザインの話、彼の所属している映像学科の話、
また当時弾けなかったギターも、作曲や音楽の録音の方法も教えてくれたのも彼でした。

そんな穏やかな日々はあっという間に過ぎ、大学3年生になり、
僕は一旦音楽を作るのは辞めて、本格的に絵に専念することにしました。
課題ではいつも描いていたものの、いざ「自由に」となると、
一体何を描けば良いのかわかりません。

今ではなかなか想像つかないかもしれませんが、
当時のイラストレーションやデザインは、西洋的、未来的、
そして都会的なものが主流でした。

しかし当時僕が暮らしていた大阪芸大の近くは見渡す限り田園風景で、
コンビニも当時は一軒のみ、そこも23時にはきちんと閉まる田舎ぶりでした。
自販機には見たことのない色や大きさの蚊が集会を開いておりました。
この利点を活かし、西洋への憧れではない、こんな"本当の日本"というものを、
イラストレーションに落とし込むことは出来ないかなぁと悩んでいると、
杉浦君は1枚のCDを貸してくれました。
それが以前に、林静一先生との想い出を書いた時にも登場した
"はっぴいえんど"というアーティストでした。
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後に知ったことですが、はっぴいえんどもまた、
デビュー当時の1969年、英語が当たり前だったロックという音楽に、
はじめて意識的に日本語の歌詞を取り入れ、昇華した歴史的なバンドなのでした。
メンバーは大瀧詠一、細野晴臣、鈴木茂、松本隆という、
後から考えるととんでもないメンバーの集合体です。

とりわけ僕はその音楽の中で語られる、現・作詞家の松本隆先生の手によって紡がれた
想像力や妄想をはらんだ美しくきわどい日本らしさの虜になり、
「こんな風にダサくなく日本を描けるなら、絵で同じことが出来るかもしれない!」と、
当時住んでいた自分の身の回りの風景をそのまま描きはじめました。

今も時々、僕の描く「女の子ではなく、男の子が好き」だという有難いお言葉や、
「なぜ彼は眼鏡をかけているのですか?」という質問を頂くことがあるのですが、
そんな風に自分の体験を元に描きはじめた絵だったので、
絵の登場人物のモデルは主に杉浦くんで、彼が眼鏡をかけていたからという単純な理由でした。

その時に描き始め、友達に見せていただけだった絵の作風が、
今も続いていて、どんどん色んな方に知ってもらえている現状を考えると、
杉浦くんがあの時言った「今も宇宙はどんどん広がっているんだよ!」という言葉も
副題の「~の宇宙」も、あながち大袈裟でもなかったのかもしれないなと、可笑しくなります。

元をたどればこんなに長い話なので、本誌では語り切れませんでしたが、
そんなことを色々思い出しながら、巻末の歴史のコーナーは丁寧に綴りました。
ハイチューでも食べながら、じっくり読んで頂ければ幸いです。
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by kazekissa | 2013-04-23 04:04 | 日記