イラストレーター、ミュージシャン中村佑介のオフィシャルブログ または心のおもらし。Twitterは@kazekissaまで。


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出来ないことは良いことだ (後編)

そんな風に梅嫌いのまま、大人になり、イラストレーターになった僕だが、
もうひとつどうしても苦手なものがボーリングだった。

絵や小説や漫画、アニメ、ゲーム、映画などが好きな、
いわゆる文科系タイプは「元々運動が苦手だったので…」という人が少なくないだろう。
しかしいくら運動が苦手な方でも、小中学校の卒業式の帰りにみんなで
ボーリングくらいには寄ったことはあるだろう。
かくゆう僕は小学校~中学校まで、サッカー、水泳、卓球、剣道などをやっていて、
運動に対する苦手意識は特になかったのだが、
小学校3年生の時に父親に連れて行ってもらった
はじめてのボーリング体験の一投目がガーターで、
負けず嫌いの性格が「こんなもの一生やらない」と言わせ、
頑固な性格が故に、「あんな玉を転がして棒を倒すような原始的な行動は
この文明社会に生きる人間のやるべきことではない!」だの、
「ただの下ネタやん。玉と棒ならもう間に合ってます!」だの、
屁理屈ばかりをこねているうちに、2投目を投げることなく30過ぎになってしまった。

一方、ボーリング以外にも現実のそういうゲームは、
この歳になれば、余程のことがないとやることがなくなるが、
テレビの中でのゲームはよくやっている。
最近はまったのがX-BOX360を購入した時についてきた「塊魂」という、
雪だるまのように町中のものを巻き込んで行き、どんどん大きくするという単純なゲーム。

そのシリーズが他の機種でも出てると知り、いまさらプレイステーション2を購入し
iPodtouchのゲームでも2作品出ているので、それも購入し、
昔使っていた携帯電話を引っ張り出し、SIMカードを入れ替えて、
携帯アプリ版もプレイ。塊魂シリーズはすべてやりつくしてしまった。
それでも僕の玉ころがし欲はとどまることを知らず、
「わるいこはいねーかー?」という秋田県のなまはげの如く、
「他に転がせるものはねーかー?」とワナワナしていると、
妻が「だったらボーリング行けばいいじゃん」と提案。
すっかりボーリングなどこの世からなかったことにしていたので、
それに対する憎悪も忘れていて、「その手があったか」と行くことにした。

しかし、34年間溜まりに溜まっていたボーリングに対する熱はとどまることを知らず、
そこから毎日毎日行くことになった。妻も自分が提案してしまった手前、
泣く泣く付き合ってくれていたのだが、先に悲鳴を上げたのは僕の身体だった。
日頃運動不足だった身体がいきなりの運動でビックリして、
汗を出す機能が追い付かず、蕁麻疹を起こしてしまったのだ。
医者に行くと、薬とともに「完治するまでボーリングは禁止です」という言葉が渡された。
「大人しく得意な絵だけを描いていれば良かったのに、
やはり、慣れないことはすべきじゃなかった…」とひどく落ち込んだ。

そんなある日、雑誌「イラストノート」から対談の企画が上がった。
これまでもたくさんさせてもらい、季刊エスにはコーナーも持たせてもらっている程、
対談は大好きなのだが、その相手として真っ先に頭に浮かびながらも、
出来なかった方がいた。避けてきたという方が近いのかもしれない。
それが林静一先生だった。


女の子のイラストレーションを描くにあたって、
新旧問わずたくさんのイラストレーターや画家や漫画家の方達の作風を研究してきたが、
その中でも、最初にお手本とし、一番大きな影響を受けたのが林先生なので、
プロという同じ土俵に上がってしまってからは、
どうやったら先生がしていないアプローチが出来るかをずっと探していた10年だった。
それくらい林先生の絵は僕にとって完璧すぎたのだ。

だからこそ「もっと一人前にならなきゃお逢いできない!」と思い、
その機会をずっと我慢してきた気持ちは、それこそ、
前編で紹介したあのレコードジャケットの煙のように、イラストの端々から漏れていた。
横顔の少女という共通点が大きすぎて、あまり気付かれないが、
何を隠そう、僕の描く水しぶきの形は大体、「ゆでめん」へのオマージュになっている。
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左:中村佑介"小学館「きらら」2012年9月号"表紙/右:林静一"はっぴぃえんど「ゆでめん」"ジャケット
他にもたくさんあるので、ぜひ画集を持っている方は過去作品からその漏れた想いを探してほしい。
そして、その画集『Blue』のタイトルは"青春"の意味で、
あとがきにも書いている通り、そこからの卒業を意識した本として、
それまでの作品を全てまとめて出版した。僕にとってはそれは、
子供が親から自立するように、林先生を追いかける事からの卒業の儀式でもあると考え、
最後に描いた表紙は、林先生の中でも一番大好きな「ひなあそび」という絵と同じポーズにした。
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右:林静一"ひなあそび" / 右:中村佑介"画集「Blue」"表紙

そこから3年、ようやく最近になって、
自分のこれから描いていきたい方向性が見つかり、
雑誌イラストノートから対談の企画を頂いたので、
「林静一さんとお逢いしたいです!!」と答えた。

そして先日、イラストレーターになって10年、
小梅ちゃんと目が合ってから20年以上の時を経て、
とうとう憧れの林静一先生にお会い出来ることになった。

実際お逢いした林先生は、想像よりもっと楽しく、柔らかく、大きな方で、
絵ももちろん大好きだが、林先生のことがもっと大好きになった。
誌面ではカットされるかもしれないが、ふとしたことからボーリングの話題になり、
林先生もこれまでの人生で未体験で、最近になってお孫さんに誘われようやくはじめたらしく、
そんなひょんな共通点から花が咲き、「出来なくって良いこともあるんだなぁ」と思った。
もちろん他にも、ほんとうに長い時間を頂き、絵のことをはじめ、
たくさんお話させて頂いたが、僕は「大好きです!」と伝えられたことが一番うれしかった。
いまだに梅は食べれないけど、それは林先生と小梅ちゃん、
お二人に向けた言葉でした。

長々となりましたが、そんな前置きのもと、
10月23日発売の雑誌「イラストノート」vol.24を楽しんで頂ければ幸いです。


最後に、この場を借りて、あらためてお逢いして下さった林静一先生、
このような貴重な機会を作って頂いたイラストノート編集部の皆さま、
これまで応援して下さった皆さま、支えてくれた家族や友人たちにお礼申し上げます。
本当にどうもありがとうございました。

これからもより一層、叙情画、イラストレーションを盛り上げるべく精進致しますので、
今後ともよろしくお願い致します。
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追伸/林先生、蕁麻疹治ったら、ボーリングご一緒させて下さい(笑)
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by kazekissa | 2012-09-29 10:01 | 日記