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そんなもの

待ち合わせより30分早く着いたので駅前のそば屋に入った。
クリスマスだというのに風邪をひいて何処にも行けない彼女を驚かせてやろうと、
プレゼントを持って最寄の駅までやってきた僕は、
興味もなく設置されたテレビを眺めながら親子丼を食べていた。
するとどこからかパチンパチンと爪を切っているような音がするので店の奥を見てみると、
大学生くらいの男がカバンの中から紙袋をたくさん取り出しホッチキスで留めている。
おそらく小さな弟や妹へのプレゼントだろう。
まだ紙袋に入れていない子供用のハンカチや
色鉛筆やレターセットをとても優しい顔で眺めている。
「天ざると、あと…日本酒ってありますか?」
随分と気前のいい注文をするんだなぁと思った。
大学に通いながらバイトをし、はじめて出た給料で買ったプレゼント。
みかん箱を勉強机に兄を待つ兄弟たち。
「ただいま。ほーら今年はサンタさんがトナカイを連れてやってきたぞー」
「ほんとだ、兄ちゃん鼻赤~い!」
「わー、ポケモンの鉛筆だ!あれ、DSは?」
「DSはまた来年、兄ちゃんがサンタさんに頼んどいてやる。」
「…ぼくいらない。それならお母さんが帰ってくるように頼んどいてよ。
「母さんはもう…母さんは…」
「兄ちゃん、…泣いてるの?」
そんな想像をしていたら"親子丼"という言葉が何だか意味深なものに感じてしまい、
全部食べられなかったが、時間も来たので、
彼女へあげるショルダーバッグをコートの腹に隠し、勘定を済ませ店を後にした。
クリスマスだから赤にした。


いつもより早く帰路に着いたので駅前のそば屋に入った。
そう、今日はクリスマスなので、バイトをしている画材屋の店長が早く帰らせてくれたのだ。
「これ持ってけ!」と赤や緑の包装紙やリボンまでくれた。
大学にバイトに忙しく、妹たちへのプレゼントは気の利いた包装紙にも包んでいなかったので、
今日だけ特別に注文した高めの天ざると日本酒を待つ間、
プレゼントを包みなおすことにした。
ふと店内を見渡すと、男が一人目の前にあるどんぶりに箸もつけず、
ひたすら複雑な表情で見つめている。と思いきや、突然ニヤニヤと笑い出し、
横にある紙袋から真新しい赤いショルダーバッグを取り出した。
それを何とコートに隠し、颯爽と店を出てゆく。
あれは何だったんだ。私は考えた。
ひとりぼっちのクリスマス、せめて自分へのプレゼントにと買った赤いバッグ、
空しくなったのか、包装紙を捨てたんだろう。
恥かしくなったのか、腹に隠したんだろう。
可愛そうに。もう会うことはないだろうが、
せめて今日くらい彼にいいことがありますように。


一体何なんだろう。彼からメールで呼び出されて私は駅前に立っていた。
風邪をひいているので仕方なくつけている大きなマスクが可愛くないけど、
突然の事だったので化粧もしていないから丁度いい。
数分後に手ぶらの彼がやぁとやってきて「目をつむって」と言ってきた。
キスでもされるのかと(マスク越しに)恐る恐る目を閉じたが、
次に目を開けた瞬間、真新しいバッグが私の肩からかかっていた。
しかも色は好きな赤。以前ふと言ったことを憶えてくれていたのがとても嬉しい。
それにしてもこんな大きなものを、彼は一体どこに隠していたのだろう。
手品でも使ったとしか考えられない。
仕事があるらしく5分程話してホームまで見送り、家に帰ると、
いつもより早く兄が帰ってきていた。少し酔っ払っているようで上機嫌に
「おかえり、何処行ってたんだ?お前にもプレゼントがあるんだよ。」
と言ってハンカチをくれた。ピンク色で少し子供っぽい柄だったけど、
兄からすれば私はいつまでも子供のままの妹なので、これでいいのだ。
だから彼がいることなんて言えるはずもなく、このカバンをどう説明しようと戸惑う私に、
「あれ、そのカバン…」「え、何!?」「…いや、どこかで見たような。まぁいいか」
助かった。今度、隠す方法を教えてもらおう。


男はいつもそんなもの。
みんなしあわせ。
メリークリスマした。
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by kazekissa | 2008-12-26 02:52 | 日記